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アメリカ合衆国 入国審査の取り調べ

(ペラリッペラリッ) エジプト!またテロ国家だ!(ペラッ) カンボジア!イラン!どうしてイランに行った!?」

『観光です』

「シリア! お前は全てのテロ国家に行ってるのか!?」

『シリアの人々は良い文化持ってますよ』

「何だとっ?」

『…あ、シリアの“普通の”人々は。』

「そうか。ところでお前は何でバキュームホースを持ってるんだ?」

『これは楽器です。えっと……(ビョ~ボボビョ~ボボ)
 オーストラリアのアボリジニの伝統楽器で、本物は木製のでっかいパイプです』

「ほーなるほど。さ、じゃあそっちの部屋に荷物を運んでくれ」


       ~ 荷物 全検査 開始 ~


「旅の資金はどうしたんだ?」

『日本で働いて貯めました』

「仕事は何だった?」

『コンピュータエンジニア』

「…おっ、これは何だ?“Freedom”」

『エチオピアで買ったリストバンドです』

「お前、いったい何個 Freedom を持ってるんだよ」

『40個』

「これは…パキスタン製か?」

『(軍モノの冬用コート、やばい!?)イランで買いました』

「ほお。で、この書類は……マッサージのセラピストなのか?」

『(タイ政府公認の証書!)はい、タイで習いました』

「こっちの紙は?」

『レシピです。ブルガリアで書いてもらった…』

「お前はコックなのか?」

『はいそうです(もう何でもいいや)』

「……これは何だ?」

『これも楽器で…(シャッシャッシャッ・カッコッ・コッ・カッコッ・コッ)…』

「さっき書いてもらったカスタマーカードに、動物由来の製品があると書いてあるが、何を持ってる?」

『えーとこれです。ツナ缶とマヨネーズ』

「そうか、それはよし」

『(オーストラリアではマヨ没収されたけど…)』


「お前はテロリストを知っているか?」

『はい、テロリストっていうのは反社会的な…
 えー、英語でどう言ったらいいかわからないけれど、テロリストって言葉はわかります』

「お前はテロリストか?」

『ちがいます』

「宗教は?」

『仏教です』

「それは平和的か?」

『はい』

「で、この缶は何が入ってる?」

『コーヒーです』

「よし、じゃあ荷物をまとめろ」

『(うええ、これだけ全面的にひっくりかえったことはかつて無いな)』


         ……5分後……


「パスポート返すぞ。この日までに出国するように」

『はい』

「なんだまだ荷物まとめてんのか」

『…はい』



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